「お帰り。楽しかったかい?」
「はい。とても興味深かったです」
「ならよかった。この街が怖かったりしなかったんだね。あたしなんか、ここへ来た当時は魔法が怖くてねぇ。魔法を習うことが理解できなかったんだよ。それでも両親がどうしても魔法を習えってねぇ。でも今じゃすっかりお馴染みって訳さ」
そういうとスージーはぽそっと何かを呟くと指を鳴らした。すると、キッチンの方から夕食と思われる料理が浮いて運ばれていた。どれも美味しそうで、みこのお腹はついになってしまった。
「沢山お食べ」
エリカの叔母が作った料理はどれも美味で、みこはお腹だけではなく心もいっぱいになった気がした。みこがシャワーを浴び終えると、エリカがみこの部屋に案内してくれた。
「学校は明日の8時までに着かないと行けないから7時30分には出ましょう」
「わかった。ねぇ、案内状一枚しか封書に入ってなかったんだけど、入学費とか受講料とかって要らないの?」
「全部無料よ。もちろん、寮費も無料。国が全部負担してくれるの」
「そうなんだ。知らなかった」
「叔母さまもそうだったのよ」
明日が楽しみね、おやすみなさい、とエリカは部屋をでていった。
「魔法かぁ…」
みこは自分が魔法を使えると思ったことがなく、魔法なんかどちらかと言えば信じてなかった。エリカは国がお金を負担してくれると言ったが、一体どこの国が負担するのだろう。もしかしたら、こっちの世界にも政府なんかがあるのかもしれない。朝になると耳元でけたたましい音を聞いてみこは目覚めた。音の方をみると薄緑の透明の羽をもつ妖精と思われる小さな生物が空中に留まっていた。
「きゃあ!」
「みこ、どうしたの!」
「あ、あれ!」
みこは飛び起こり、例の物体を指さした。するとエリカは、あれは妖精よ、と言った。
「ある程度の魔法使いになると妖精を造れるの。みこもそのうち分かるわ。さあ、ご飯にしましょう」
みことエリカは朝食を済ませた後、スージー叔母さんに挨拶した。
「二人共、寮生活は大変だと思うけど、立派な魔法使いになるんだよ。たまの休日には遊びにおいで」
とウィンクした。
みことエリカは学校の入学式のせいか、少しざわめいている街を通り、魔法学校に到着した。招待状によると、初めに校長による適性検査を受けた後、適性にあった魔法使いから主に訓練を受けるらしい。そのほかに共通授業もある。担当となる魔法使いはどれも名の通った人ばかりのようでエリカは興奮気味に、それを言ってた。杖や指輪は、初めは学校から支給され力がついてから自分に適合したものを買うらしい。
「はぁ、緊張するわね!できればみこと同じ先生につきたいわ」
「ありがとう、私も」
学校に着いたら、一年生は大広間に集まるように言われ、みこ達は大広間に行ったが新入生は百人にも満たなかった。
「ねぇ、エリカ、新入生って少なくない?」
「何言ってるの?この学校は超エリート校なんだから、仕方ないの。あ、先生方がいらしたわ」